恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
シシは3年前よりお姉様にお仕えする同い年の従騎士ですが、実は暗殺者一族の出身なのです。
3年前、バーセンハイム公国はお父様の愚策と浪費により国庫が傾き、お父様が税率を上げて国民から搾り取ろうとした結果……重税に喘いだ民の怒りが頂点に達し、武装蜂起。クーデターや内乱まで勃発しそうになったのです。
度重なる嘆願を無視したお父様に対する国民の怒りは凄まじく、一時は宮殿まで武装した民衆に包囲されるほどでした。
皆、大公を引きずり下ろせ!だけでなく、殺せ!!と口々に叫び、わたくしたち一家は危機に陥りましたが……
そこで、お姉様が大公代理としてお父様の代わりに立ち、民衆との間に入って話し合い……なんとか危機を回避したのです。
……というのは表向き。
実際はわたくしが知恵を絞り、なんとか妥協点を見つけて和解させた……というのが正しいのです。
生前、歴史物は好きでしたもの。権力や武力で民の不満を押さえつけたところで、ろくな結果にならないことは有史以来地球の長い歴史が証明していますわ。
その時、大公暗殺の暗殺者として送り込まれたのがまだ10歳のシシ。ところが、お姉様が同じ部屋にいたために失敗し、逃亡したのですが…。
なぜか、お姉様はシシを庇い匿ったのです。
そして彼を自分の専属護衛騎士ライトの従騎士へ推薦し、そばに置くようになりましたの。