恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
さて、アクスフィアに来たのは王立図書館へ来るのもひとつの目的でしたの。
アンナ女官長の手配したお妃教育の先生方はバーセンハイム公国に逗留されており、普段勉強は首都の宮殿で行っておりますが、恥ずかしながらバーセンハイムでは勉学はさほど重視されておりませんの。ですから、図書館などはお飾り程度の本しかありません。
調べ物をするならば、歴史あるアクスフィアの図書館が最適なのですわ。
(さて……と、教育関係の本はたしかあちらでしたわね)
(仮ですが)カイン王太子と婚約してから、この図書館には頻繁に来ております。どこに何が配置されているか把握しておりますから、迷いなくそちらの書架へ足を向けました。
(カイン王太子との婚約のメリットのひとつですわね)
よく磨き込まれた床を鳴らさぬよう気をつけながら歩いていくと、壁に面した机に見慣れたプラチナブロンドを見つけ、思わず足を止めてしまいましたわ。
(カイン王太子…?なぜ、図書館にいらっしゃるんですの!?)
アク物を何回プレイしても、彼はいつも怠惰で勉強も武芸も嫌いな名ばかりの放蕩王子だったはずですが…?
なんの書物を読んでいるか気になってチラッと見れば、ずいぶん分厚い本を積み上げてる。
(マクトゥール経済学にベルバルの君主論…?法律学まで…?本当に勉強なさっていらっしゃるんですの?)
おかしい……。
この3年、彼はずいぶん熱心に武術訓練をしていた。
そのうえ勉強熱心? 本来のアク物ではありえませんわね。
(きっとヒロインのためですわね。彼女のために理想の王子様になろうと…健気じゃありませんか!)
ここまで努力するなら、ヒロインとの推しカプ候補にして差し上げてもよろしいですわよ?