恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに

「……なんだ、誰かと思えばマルガレーテか」

ハッと我にかえると、いつの間にか間近にカイン王太子が立っていてドキリと胸が鳴ります。
普段はなるべく顔を合わせないよう徹底的に避けていましたのに…。

(しくじりましたわね…本を借りて他所で読もうと思いましたのに…面白くてついつい夢中になってしまいましたわ)

「ごきげんよう、カイン殿下」
「ああ……ウェルネの教育論……それ、面白いのか?


なぜか、カイン王太子はわたくしの手にした本が気になるようですわ。仕方ないのでお話ししておきましょうか。

「はい。お恥ずかしながら、わがバーセンハイム公国は教育が遅れ国民の識字率は高くありませんの。ですから、まず読み書き計算から教える簡易な学校を各地に設置しようかと思いまして。国力を上げるためには、国民全体の学力向上が必要ですわ」

21世紀の日本では義務教育は当たり前だけど、この世界では当たり前じゃない。家が貧しくて幼い子どもが働かないといけない実情があるのです。

「学校では簡易な給食を出します。最初はそれ目的でもいいのです。子どもたちに学がつけば、単純作業以外の仕事にも就けます。そうすればいずれ稼げるようになり、国の税収も増えますわ。子どもへの投資は国の将来への投資にもなりますわよ」 

(税収がっぽり。つまり、推しカプのために使えるお金が増えるということですわ!)

推しカプ仲人のため、長期的なプラン(国家政策)も大切なのですわ!
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