恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに

さて、運命のダンジョン探索スタートです!

森の入口付近は平坦な平原ですが、森の奥に行くには丘陵地や谷を通らねばなりません。
奥地だけに咲くフィラスというレアな花を摘んでくること。それが探索の目的です。

最大6人のパーティーですが、往路が狭いので基本2人一組のパートナー同士で進行しますの。

わたくしは不本意ながら、カイン王太子とですけれど。

(彼とはなるべく距離を取りましょう…二組の推しカプの仲人成功のためには、王太子にかまけてる時間はありませんわ)

皆、制服ではなく動きやすいシャツとズボンに、ショートブーツ、革手袋。簡易な胸当て等の防具も身につけてます。

「おい」

森の中に足を踏み入れてしばらくして、なぜか横にいるカイン王太子から声がかけられます。無視したいですが、仕方なく応じました。

「はい、なんでしょう?」
「おまえ、荷物…多すぎないか?」
「野営できる道具を持参していますの。ダンジョン探索はなにがあるかわかりませんもの」
「重くないのか?」
「平気ですわ。これでも普段から鍛えてますのよ」

にっこり笑ってそう答えたのに、カイン王太子の手が伸びて、左肩に引っ掛けたバックバックを奪われてしまいましたわ。

「今から頑張って消耗するな。先に響くぞ」

そう言ってさっさと先に進みますが…なんなのでしょうか? 御自分の方が力持ちアピールですか?
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