恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに

カイン王太子はどうやら先を進んでいたフランとキュカカップルより前に出てしまったようです。

「お待ちになってくださいな、カイン殿下!わたくしが持ちますわよ!!」 
「強がり言うな。いくら鍛えてもおまえは女だ。大人しく男に頼れ」
「〜、そ、それは時代錯誤というものですわ!わたくし、男女関係なく学びや仕事の機会は差し上げております!性別など些細な違いでしかありませんのよ!」

わたくしたちがぎゃあぎゃあ言い合っていると、なぜか斜め後ろにいたキュカさんがクスクス笑われました。なにかおかしかったでしょうか?

「ごめんなさい、笑ったりして。でも……マルガレーテさん、いつも何を考えているかわからない笑顔をされてるから…まさか、こんなふうに親しみやすい方とは思わなくて」

青色の髪と瞳を持つ可愛らしい少女のキュカさんは、大富豪のお嬢様。平民だけど王立学院に入学したから王侯貴族からの目が冷たくて、庶民出身のヒロインが入学したらその取り巻きになるのですが…。
ヒロインが現れないからか、なぜかよくわたくしに話しかけてきてくださって。今は友人くらいには仲良くなっていますの。

「ああ、おれも意外だったよ。兄上を振り回すわがまま悪役令嬢と聞いていたからさ」

キュカの隣にいるフランは、実はカイン王太子の3つ年下の弟王子。くすんだアッシュブルーの髪と澄んだグリーンの瞳。鍛え上げた体は12歳と思えないくらいに大きいです。
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