麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
死闘、果てず/その6
夏美



「鷹美、私の肩につかまって」

「すいません、先輩…。あのう、荒子はどうなりました?」

「まだ、はっきりしたことは何も…。でもさ、墨東会の3人には相手側が何か伝えていると思う」

「…そうですね」

「鷹美…、本郷は最初から荒子とあなた、それにあっこらをここへ来れないように画策していたんだよ。…さらにOB・OG連も私もろとも南玉から剥ぎ取った…。その上、更に真澄を使って南玉を不戦敗に持っていくハラだったのよ。でも、あなたやあっこ、それに本田などの1年に救われたわ」

「…」


...


「相川先輩とあっこが来てくれなかったら、私達は真澄先輩に言いくるめられて、南玉はキャビネットに組みこまれるところだった…。本郷の前に屈したことになってたのよ。ギリギリだったわ、本当…」

のん子がそう告げると、鷹美は口を真一文字にして厳しい表情を浮かべて聞いていたわ…

まさに本郷麻衣…、恐るべし…‼

この私も、”今日の真澄”までは予測していなかった

所詮、本郷とは”策”の厚み、深さが違ったよ…

その巧みな企みの前に、私達は組織を割った

だが、魂は残したわ!


...



「…言葉にできないほど、本郷には怒り心頭だけど、ヤツは今現在の南玉連合を試したのよ…。確かに組織はズタズタにされたわ。でも私たちは、それに敢然と立ち向かってるわ…」

「ええ…。本郷との”決着”は、ここが正念場なんですね」

「そうよ。横田競子が私たちが来ることを信じて、分裂した南玉連合の首の皮一枚をつなぎとめてくれている…。まだまだ、負けていないわよ、私達は…」

「先輩…、横田さんはテツヤとケンカの実戦訓練を積んでましたよ。たぶん、”今日の舞台”を想定していたんでしょう…。あの子…、本郷に一歩も引いてませんよ。大したもんだわ…」

土手の階段を下りながら、鷹美と私、そしてのん子も、本郷と戦う果敢なケイコの姿に熱い視線を浴びせていた…




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