麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
死闘、果てず/その11
祥子


よし…、みんな思ったより手早く退散できたわ

ええと、川の中の麻衣と横田は…

ずいぶん暴れてるが、能勢さんたちが捕獲したようだ(苦笑)

...


「津波、では、行こうか…」

矢吹…

私は土手上で麻衣たちを確認したあと、南玉の連中が運転するバイクに挟まれる形で土手上から出発した

私は言わば南玉の人質だ

南玉総長の合田と横田競子が奴らの手に戻るまでの…

今日の火の玉川原での戦いは終わった

だが、双方の決着はまだこれからだ…

果たしてどのような終結を迎えることになるのか…

とにかく、麻衣が戻ってきてからだな


...


私は南玉幹部の一人、高津のり子の家に移送された

「津波さん、降りて。とりあえず、ここで待機してもらうわ」

高津さんはそう言って、自宅の庭先にある、結構大きな倉庫みたいな建物に私を通した

中へ一緒に入ったのは矢吹さんと相川さん、それに1年が二人か…

「まあ、そこに掛けて」

矢吹さんが折り畳みのイスを開いてくれたわ

そんで、その正面に4人も椅子に座った

はは…、なんか、取り調べみたいだ…(苦笑)

...


「津波さん、夕方はどうも…。ちょっと聞きたいんだけど、いいかな?」

「ああ、どうぞ…」

「あの時、あっこと私は昨日の負傷を抱えていたし、アンタが”その気”だったら、私らを潰すことなど容易だったわ。なぜ、そこまでしなかったの?」

「…私は麻衣側に付いた人間として、与えられた役目を果たした。それ以上でも以下でもないよ」

「そう…」

「だが、アンタとはハンデなしの状態でやりたかった。まあ、そうなれば、今の私が敵う相手じゃないってのは、さっき闘ってみてすぐに分かった(苦笑)」

「…」

矢吹は負傷している右肩に手を当てながら、やや目を細め、私をじっと見つめていたわ






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