麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
死闘、果てず/その12
祥子



「…私からも、あなたにはぜひ聞きたいことがあるわ。本郷麻衣は、一体何を目指しているの?それを、あなたや迫田さん、それとあの岩本真樹子は同じ認識で共有しているの?私にはどうも、岩本なんかとあなたは違って映るんだけど…」

今度は相川さんからの問いかけだった

「私も、麻衣の本当のところはわからないんっすよ。でも、こっちの側のみんなは、今の都県境に凝り固まったフレームは一度ぶっ潰すべきだって、その考えまでは一致してると思いますよ。片桐さんや三田村さんを含めて…」

「…」

「…それを表面上だけに留まらず、根底からってとこまでなら、私は麻衣が出てこなければあり得なかったと思う…。だからこそ、麻衣があそこまでやったから、アンタ達南玉連合が内包していた自己矛盾も表に出たんじゃないですかね…」

ここで、相川さんは思わず下を向いちゃった…

...


「昨日、私の学校を襲った迫田は私にこう言っていたわ。”組織に甘んじて何になる。個を磨いて上に立つ人間なら、この惨状を直視しろ”ってね。あなたもそういう思いがある?」

「ありますね。私もリエも、フリーであなた方を外から見てきた訳だけどさ。…率直に言って、息苦しさを感じましたよ。よく解釈すれば都県境最大組織の使命感に受け取れるが、何様のつもりなのかなって気がしたのも事実です。失礼ながら…」

私はすべて正直に話した

それを、1年も含め、みんな神妙に聞いてくれてたよ…


...


「…私、あなただから言うけど、今回で痛感したわ。南玉連合はまさに燈台下暗しだったと。さっきここでね、一枚岩なはずだった荒子体制の南玉連合は、目を覆いたいほどの惨状を晒して分裂したわ。鷹美に突き付けた迫田の言葉が、今胸に刺さる思いよ…」

「相川さん…」

私は少なくともここにいる4人、それに湯本や高津ら、最後まで赤塗りの背骨だった南玉連合の精神を捨てなかった連中には、変な話、エールを捧げたい気分だったよ

ひょっとして、麻衣だって同じような思いは心のどこかにってな…





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