麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
果実の熱病/その10
麻衣



電話会談のトップバッターはアンコウだ

「…麻衣、何しろ今夜はお疲れ様。壮絶な死闘だったそうだね。早くも界隈じゃ大変な評判だよ。私の手が加わらないうちに、もう情報が出回っちゃった」

「…どんな風潮なんですかね?」

「気になるかい?」

「まあ、命がけで戦った当事者ですからね」

「あのねえ…、まず、相手の横田は一夜にして、ジャンヌダルクだね。”あの”本郷麻衣に、たった一人で立ち向かった…。そんで、彼女に勇気をもらって内部分裂の南玉から、有志14人が巨悪許すまじと火の玉に殴りこんだと…。まあ、そんなくだりになってるよ」

「で…、カモシカと私のジャッジはどんな風に伝わってるんですか?」

「ああ、横田が大善戦して、麻衣は川に顔面を沈められた挙句、パイプ攻撃を喰らって失神寸前に追い込まれた。警察が駆け付けなかったら、麻衣はKOされてただろうって…。まあ、私はそこまでとは思ってないが…。どうよ…、麻衣、悔しいかい?」

アンコウめ…

私の反応、試してるわ(苦笑)


...



「先輩…、今回は”無修正”で構いませんわ。そういう伝聞が行き届いてんなら」

「あらまあ…。いいのか?お前、判定負けだよ、このままじゃ」

「いいんです、それで。そうなれば、今後の展開で横田はトンズラできない。私からも、南玉からもね…」

「うーん、そういうことね。じゃあ、いじんなくていいんだね、あんたらのタイマンについては…」

「はい。あと、狂犬の方も教えてくれますか」

「おお、赤い狂犬は、近く本郷を噛み殺すだろうって。これも骨折以降は私の脚色なしでだよ。すごいもんだねー、これはアンタ、界隈の願望論だよ」

もう、アンコウは私を茶化しまくりだ(苦笑)






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