麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ！

壮絶の川原/その５
麻衣＆祥子



コイツ！

ケンカを知ってる…

それは経験とかによるものなどはなくだわ

...


カキーン…！

ヤツのフェンスパイプと私の木刀がぶつかり合う度、二人は金剛力の込め合いを繰り返した

細い体なのに、この押す力の強さはなんなんだ…

互いが離れる瞬間も、次の態勢への判断が恐ろしく早い

加えて体の移動は、咄嗟の瞬発力でこっちの読みを外してくるし

頭と体と神経…、それに不屈に闘争心、揺らぐことのない信念…

三位一体プラス２だわ

つまり、私にとっては最強の相手…

へへ…、嬉しいって


...


「喰らえー！」

カキーン！

「わあー…！」

パイプで木刀を払われた…

おい…、ウソだろ…

あの麻衣から木刀を１０Ｍ飛ばしたぞ

互いの剣を押しあい、引きあった後…、相手は脳天に剣道の面打ちにいったんだ

咄嗟に麻衣は木刀で頭をかばったが、その瞬間、横から木刀を打ち払った訳か…

麻衣もさすがに頭のガードに気を奪われたから、グリップが甘くなっていたんだろう…

横田は反射的にだったと思うが、フェイントの間合いで、上からではなく横に打ちこんだ

ケンカの実戦経験が豊富でないとできない芸当だが、横田って子は瞬時における判断力が卓越してるんだろう…

さあ、素手状態になった麻衣に対し、ヤツははどんな攻め手に出るのか…


...


「いやー！」

バシーン…！

”ギャー！”

何と、横田のヤロウ、麻衣の右腿のあたりにパイプで打ってきた…

「おらー！、行くぞー！」

容赦なしじゃねえか、あいつ…


...



一発喰らった麻衣は足を引きずりながら、左右前後に逃げ回って、横田の打ちおろしをかわしてる…

お互い、何と言う俊敏さだ

まるで野生動物同士の喰い合いのようだよ


...



横田には、目の前の敵を駆逐することだけに集中できてるぞ

もう麻衣は必死になって逃げまどうのみじゃねえか…

それにしても…

横田のあの非情さ…

それって…

一体、あの子の”どこ”から来るのものなのだろうか…


...


気迫という殺意…

まさに、フェンスパイプで麻衣の脳天を叩き割らんばかりだぜ

あんなもんまともに連打されたら、骨折してジエンドだわ

横田は、麻衣を殺すくらいの気構えで向かっていってるよ

麻衣もおそらく、そのくらいの気迫だろうし…

そのぶつかり合いなのかよ！

私たちが今目の前にしてる戦いは…

そして今、私は確信した

こいつらの決着は危険なものになるぞと…