麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
壮絶の川原/その6
麻衣



痛え…!!

だが、うれしいって

遠慮なし!

そして、本気‥

コイツをその気にさせたんだ

飛びっきりのコイツを

上等だぜ…!


...


木刀を奪われた私は尻もちをつきながら、ただ横田のパイプ棒をその場しのぎで避けるのみだったよ

私が立ちあがるいと間など1秒も与えられずだ…

だが、私の獣の目は攻撃やまぬ敵の動きからは、決して外さなかった

そして、見えたぞ…

...


「おらー!」

今だ…

私は横田の振り下ろすパイプの振りが、だんだん大きくなったのを見逃さなかったんだ

それはスピードダウンに他ならない

これまで散々後ろに逃げたが、ここで前に出た

そして…

ヤツが地面にパイプを振り下ろした瞬間を捉え、横田の両膝を両手で抱えるように突っ込んだ

ヤツの体を一気に押し倒すと、手にしたパイプを奪い、川の中に投げ込んでやった

ポチャーン…

それは、いい響きだった


...


さあ、ここからは素手で勝負だ

行くぞ!

ヘヘ…、第2ラウンドのゴングは、私が一方的に鳴らしてやったさ


...


バシン、バシン…

横田を仰向けに押し倒すと、私はヤツの体を密着させ、右あばらへひじ打ちを鋭角的に連打した

それはろっ骨を折らんばかりの強打で…

「うぐっ…」

うめき声をあげながら、密着して体をかぶせてる私の上半身を横田は必死に振り払おうとしてる

だが私は、重心に変化をつけながら、腰を小刻みに移動させた

横田の腕を肩あたりで押し込みながら、右のひじ打ちを繰り返しだ

普通の相手なら、ここでこっちのペースへ引っ張り込み、一気に勝負に出られただろう

しかし、ヤツは私にそうはさせなかった…




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