麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
壮絶の川原/その7
祥子



凄まじい…

目の前の激闘は、まさにこの一言に尽きた

横田の瞬間的判断力…

それは理知に富んだ動物的カンで、おそらくは天性のものなんだろう

ビリーブポジティブ…、ネバーギブアップ…

見るものに勇気を湧きたたせる…

アイツ、そんなのもをプンプン発しているよ


...



横田のエスケープは見事だった

上から圧し掛かっている麻衣の上半身から脱出するスキを、極めて細かい秒単位の動きで、一秒たりとも制止していない

その結果、麻衣の厳しいひじ打ちさえも、緩慢に持ちこんでる…

言ってみれば、横田にはクレバーな戦い方が身に備わってるってことだ

そして、ヤツは麻衣の攻撃のパターンで、体の重心が不安定になるタイミングを読み込んだようだ

「オラー!」

麻衣が大きく肘を打ちおろす瞬間、腰が一瞬浮くタイミングを捉えた横田は、長い足を地面に踏み込ませ、腰をグイっ持ち上げブリッジのような体制に持っていった

すると…

バネが利いた横田の腰の反動で、小柄な麻衣の体は斜め横に勢いよく振り落とされたぞ…

...


「ウォー!」

おお、横田はすぐ起き上がって麻衣に態勢を整わせる間を与えずに突っ込んだか…

今度は横田が全く逆になって、さっきと同じ攻めに入ったわ

麻衣に比べれば威力は数段劣るが、それでもその攻めが一気果敢で、さすがの麻衣も防御が追い付いていないよ

なにしろ、横田は全く休まない…

ただあまりに飛ばし過ぎだから、闘いが長引けばスタミナに響く

中距離走での持久力がケンカでそのまま通用はしないしな

果たして彼女の場合はどうなんだろう…


...


今度は麻衣の返しだが…

うーん、何とも巧みだな…

上になってる横田に散々肘を打ち込んだおいた左レバーへ、右ひざで蹴り上げ、体が浮いたところを下から頭突きを喰らわしたよ

ここで二人は立ち上がったか…

うーん…

こうなると麻衣は手慣れたもんだろう…




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