麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!
壮絶の川原/その9
剣崎



勝負開始からおよそ10分弱か…

序盤は驚かされたが…

結局は、ここに来て順当な展開となってきたな


...


「オヤジさん…。さすがに麻衣さん、一方的ペースに持ってきましたね」

「そうだな…」

「後は何分持つかってとこでしょうね…」

俺も能勢の言うとおりだと思った


...


やはりスタンディングでの殴り合いとなったら、もはやあの程度の体格差は全くと言っていいほどハンデにならない

ここから見ても、ど素人のパンチやキックじゃ、リーチと足の長さを全く生かせていないのが手に取るように分かる

あんなもんじゃいくら数を浴びたって、麻衣はほとんどダメージを受けないはずだ

実際に相手は盛んにパンチとキックを放ってはいるが、なにしろバランスも悪いし、打込みが弱い

まあ…、打撃を打込みむコツなど、あの年頃の少女がそうは身に着けられるものではないからな(苦笑)

重心の置き方と腰の入り方を心得いてる麻衣なら、今のあの子など間もなくダウンさせてしまう

そこでフィニッシュを出し、麻衣が勝負を決めるだろう


...



まあ、この辺で終えとけば、相手も”大事”には至らないってことだ

こっちも見届けの役目は”無事”終了って訳だしな

土台、麻衣の相手になる少女などそうはいない

ましてや普通の女子高生じゃ、麻衣にかかればケンカの腕でもアタマでも大人と子供の違いさ

いいように弄ばれるのがオチだ

あの子も、麻衣をなまじ本気にさせないうちで終わった方が身のためだ

この時点で俺が焦点に置いていたのは勝負結果よりも、麻衣の相手を務める子が、無事に”終えられる”ことのみに絞られていた

ところが…





< 9 / 61 >

この作品をシェア

pagetop