命令教室
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食後にそれぞれ各部屋のカギを受け取って荷物を運び、シャワーも終わってあとは眠るだけになったころだった。
「歩!」
部屋に向かう階段を歩いていたときに後ろから声をかけられて振り向いた。
そこには未来が立っている。
「なに?」
並んで歩きながら聞くと、「今日の夜、1階の一番奥の部屋に入ってみるんだけど、一緒にいかない?」
その誘いに私は目を丸くした。
「一番奥の部屋って、先生が入らないように言ってた部屋だよね?」
「そう! 入るなって言われたら入りたくなっちゃうじゃん?」
未来はすでに楽しそうな表情を浮かべている。
「でもきっとなにもないよ? 先生にとって大切なものってことは、書類とかだろうし」
そんなものを見ても楽しくないことは未来だってわかっているはずだ。
「もしかしたら合宿に参加してる子たちの成績が見れるかもしれないじゃん」
「そんなの見てどうするの?」
他人の成績を盗み見るのは確かにちょっとおもしろい気がするけれど、バレたら先生に怒られてしまう。
そんなリスクを背負ってまでやることじゃない。