命令教室
未来はそこまで言って言葉を切った。
ただの憶測でしかないけれど、そうなのかもしれない。
さっきまでは他の生徒たちが走っていたから、命令をちゃんと聞いていると認識されていたのかも。
だけどふたりだけになると、命令に背いていることになる。


「今度は誰が消えるんだ?」


充の声にゾワリと全身に鳥肌が立った。
そうだ。
この文字が書かれたということは、また誰かが消えるということだ。


「嫌だ! 私は消えたくない!」


香が頭を抱えてうずくまる。
『誕生日を祝う日』では先生が。
そして『イジメの日』では潤が消えた。

そこになにかの法則があるのかもしれないけれど、考えている時間はきっとない。
どうすることもできないの……?
頭の中は真っ白でなにも考えることができなくなってしまう。
教室で棒立ちになっていたとき、突然純子が「キャア!」と悲鳴を上げた。
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