命令教室
☆☆☆

私は少し大きいサイズの制服に身を包んで大清中学の校門の前に立っていた。
持っている学生鞄はつやつやと輝いていてまだ買って間もないことがわかった。
私の他にも何人もの制服姿の生徒たちが次々と校門をくぐり抜けていって、そのどれもが真新しい制服を身に着けている。
私は新入生たちの流れに沿って中学校の体育館へと足を運んでいた。

ズラリと並んだ椅子に、すでに整列している先生たち。
新入生はみんな不安だったり緊張だったりする感情を顔に浮かべて、自分たちの椅子へ向かって歩いていく。
その流れの中に香の姿を見つけた。
香は凛とした佇まいをしていて、背筋がピンと伸びていて、キレイな子だなというのが第一印象だった。


「はじめまして。私山口香」


同じ1年B組に香がいると知ったのは、入学式を終えて教室へ入ったときだった。
山口と山本で、席が前と後ろになったことがきっかけだった。
前の席の香はくるりと振り向いて自己紹介をしてきた。


「は、はじめまして、私は山本歩むです」


小さくお辞儀をすると、香はニッコリと笑って「仲良くしてね」と言ってきた。
至近距離でみる香はやっぱりキレイな子だった。
席が近いことから始まった私達の関係だけれど、好きな俳優が同じだったり、読書が趣味だったりと気が合うことが多かった。


「今日って委員会決めがある日だよね?」
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