命令教室
☆☆☆

ハッと息を飲んで飛び起きた。
心臓がバクバクと早鐘を打っていて、気がつけな頬に涙が流れている。
窓の外からは朝日が差し込んでいて、次の日がやってきたことを知らせていた。


「香……」


私は布団の上で膝を抱えて呟いた。
昨日、香はいなくなった。
『誰かを自殺させる日』という命令を見て、自ら飛び降りてしまった。
思い出すと胸の奥がズシンッと重たくなって、気持ち悪さを感じる。

香がもういないなんて、信じられないことだった。
今日はもうなにもしたくない。
なにも食べたくないし、誰にも会いたくない。

けれど部屋に引きこもっているわけにもいかなかった。
みんなで一緒にいなければ、次の命令が出たときにターゲットにされやすくなってしまうから。
私は重たい体で立ち上がり、どうにか部屋の外へ出たのだった。
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