命令教室
☆☆☆

泣いて泣いて泣きじゃくって、そのまま深い眠りに落ちてしまったみたいだ。
私と修は教室の隅で寄り添うようにして目を閉じた。
呼吸は規則正しくて、久しぶりに悪夢を見ることもなく目を覚ました。


「おはよう」


目を開けると隣に好きな人がいて私を見ている。
少し照れながら身を離し「おはよう」と微笑んだ。
いつか修とこんな関係になれたらいいなと思っていた。

修と付き合っている場面やデートしている場面を想像したことも、何度もある。
それが今現実になっているなんて、夢みたいだ。


「さっき、聞きそびれたことなんだけど」

「なに?」

「入っちゃいけない部屋のこと」


その言葉に私は一気に現実に引き戻される気分だった。
一度大きく息を吸い込んで、そしてゆっくりと吐き出す。
見たくない現実だけれど、逃げているわけにはいかない。


「うん。1階の一番奥の部屋だね」

「そう。そこでなにかがあったのかって話」
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