命令教室
ここで怖いから部屋に戻りたいと言えば、未来は納得してくれたかもしれないのに。
でももう遅い。
強がった私を見て純子はおかしそうに笑っている。


「カギを開けるぞ」


そう言ったのは充だった。
充の右手にはいつの間にかカギが握られている。


「そのカギ、どうしたの?」


未来が不思議そうに尋ねる。


「食堂に集合するまえに事務室から盗んできたんだ」


充は自慢げに説明する。


「事務室は空いてたの?」


未来が更に質問を重ねると「施設に来たとき、廊下側の窓のカギを開けておいたんだよ。そこから入った」と、説明した。
つまり、先生の説明を聞いてすぐに今夜の計画を思いついたということだ。
用意周到な充にあきれてしまう。
その頭の回転を勉強に使えばいいのに。
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