命令教室
再び和室に足を踏み入れた私達は今度は部屋の中を調べてみることにした。
といっても、調べられる場所は限られている。
窓の前に置かれている机と、襖の中くらいだ。

私はまっすぐに机へと向かった。
最初にこの部屋に入ったときも、たしかこの当たりで人のうめき声を聞いた気がする。
またあの声が聞こえてきたらと思うと恐怖で硬直してしまいそうになるけれど、どうにか気持ちを奮い立たせる。
まずは一番上の引き出しに手をかけて、勢いに任せて開けた。

中にはなにも入っていない。
少し埃が舞い上がったくらいだ。
次の引き出しにも、その次の引き出しにも何も入っていない。
一番下の大きな引き出しに手をかけたとき、ガッと音がして引き出しの動きが止まった。


「カギがかかってる」


学生机には珍しく、一番下の大きな引き出しにカギ穴があるタイプのものだ。


「ちょっと、どいて」


机のカギくらいなら簡単に開くと考えたのか、修が私と場所を変わった。
そのまま力づくで引き出しを開こうとしている。
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