命令教室
☆☆☆

「もう、全然わかんなかった!」


2時間の勉強が終わって昼休憩に入ったとき香が泣きそうな顔で言った。


「私も。もうちょっと簡単な問題にしてくれないと、一週間も持たないよね」


数学と国語のプリントはどちらも難しくて半分も理解できなかった。
ただひとり、修だけは黙々と問題を説いていたから、やっぱり頭がいいんだろうなと関心する。


「さて、今日の昼はオムライスだ」


食堂へ移動してきてから先生が献立を発表する。
最初に聞いていた通り食材は充分にあるので、卵をふんだんに使うことができそうだ。


「俺オムライスって作ったことないな」


偶然近くにいた修が声をかけてきて緊張が走る。


「そ、そうなんだ。簡単だよ?」

「へぇ。さすがだね」


なんでもこなしてしまう修にそう言われると照れてしまう。


「こ、これくらい、練習すれば誰でもできるから」


早口で言いながら大きなボールに卵を割り落としていく。
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