命令教室
☆☆☆

みんなで作ったオムライスはとてもおいしくておかわりまでしてしまった。
お腹がいっぱいになって眠気は加速していく。
午後からも勉強があるというのに、やる気は全く出てこない。


「やっぱり修くんに告白するべきだって!」


連れ立ってトイレにやってきた香が、手を洗いながらそう言ってきた。


「こ、告白なんて、そんな……!」


鏡の中自分の顔は真っ赤だ。
人を好きになったことは何度かあるけれど、告白したことは1度もない。
だいたい、小学校の頃先生を好きになったとか、近所のお兄さんを好きになったとか、その程度の恋しかしたことがなかった。
そんな私がやっと恋らしい恋をした相手が修だった。


「でもさ、修くんも絶対に歩のこと気にしてるって!」

「そ、そうかなぁ?」


首をかしげながらもそれは自分でも実感できていることだった。
この合宿へ来てから、修はなにかと私に声をかけてきてくれている。
でもそれはただの偶然かもしれないし、舞い上がるにはまだ早い気がする。


「とにかく歩はもっと自身持って!」


パンッと背中を叩かれて一瞬のけぞる。
そして私は苦笑いを浮かべたのだった。
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