命令教室
☆☆☆

午後からの勉強は自分の苦手科目を自習するというものだったけれど、午前中にも増して教室内はやる気がなかった。
お腹が膨らんでいることもあって、みんな眠気と戦っている。
修だけは黙々と科学の教科書を読んでいて、本当に関心させられるばかりだ。

こうしてはいられない。
修の隣に立ちたいのなら自分だってもっと頑張らない!
そう思い直して自分に気合を入れる。
午前中にもやった数学のプリントを取り出して、できていない部分に目を走らせる。
正直これだけじゃ意味がわからないから、何度も手を上げて先生に質問をした。

学校の授業だといまいち理解できない問題でも、こうして一対一で教えてもらえると頭に入ってきやすい。
どうしてもできなかった問題が解けたときには開放感が体を支配する。


「やった、できた!」


思わず小さな声で言ってガッツポーズを取る。
チラリと香に視線を飛ばしたつもりが、その奥にいる修と視線がぶつかった。


修が口パクで「よかったね」と言うのが見えて、また顔が熱くなる。


私は何度か頷いて、そのままうつむいてしまったのだった。
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