命令教室
こんなラクガキをするってことは、今日が誕生日の生徒がいるのかもしれない。
名前は名乗らずにこっそり祝ってもらおうとしているのかも。
そう考えてクスッと笑う。
こんな回りくどいことをしなくても、みんな祝ってくれるのに。
「もしかして安田じゃね?」
正志の言葉に全員の視線が教室前方に座る安田潤に向かう。
「ぼ、僕じゃ……ないよ」
この合宿に参加して初めて潤の声を聞いたかもしれない。
その声は学校と同じで聞き取れないほど細くて小さい。
「ウソつけ。お前自分の誕生日を祝ってほしいけど言えないからあんなラクガキしたんだろ」
正志はすっかり決めつけている。
潤はうつむいて左右に首をふるだけだ。
「それとも花や彩だったりして?」
未来が潤の隣に座るふたりへ矢面を向ける。
名指しされた花と彩がビクリと肩を震わせた。
ふたりとも地味で目立たないタイプだから、自分の誕生日だということを大々的に言えなかったのかもしれない。
「それなら、祝ってあげたらいいじゃん」
名前は名乗らずにこっそり祝ってもらおうとしているのかも。
そう考えてクスッと笑う。
こんな回りくどいことをしなくても、みんな祝ってくれるのに。
「もしかして安田じゃね?」
正志の言葉に全員の視線が教室前方に座る安田潤に向かう。
「ぼ、僕じゃ……ないよ」
この合宿に参加して初めて潤の声を聞いたかもしれない。
その声は学校と同じで聞き取れないほど細くて小さい。
「ウソつけ。お前自分の誕生日を祝ってほしいけど言えないからあんなラクガキしたんだろ」
正志はすっかり決めつけている。
潤はうつむいて左右に首をふるだけだ。
「それとも花や彩だったりして?」
未来が潤の隣に座るふたりへ矢面を向ける。
名指しされた花と彩がビクリと肩を震わせた。
ふたりとも地味で目立たないタイプだから、自分の誕生日だということを大々的に言えなかったのかもしれない。
「それなら、祝ってあげたらいいじゃん」