命令教室
言ったのは香だ。
その声に相手を責めているような響きはない。
単純にお祝い事をしてあげればいいと考えているみたいだ。
私もその意見に同意だった。
ホワイトボードの前に立った先生が潤と花と彩を交互に見つめる。
3人ともとまどい、困っている様子だ。


「もしかして、3人とも違うの?」


私が聞くと3人は同時に頷いた。
その反応に首をかしげる。
他にそれらしい生徒はいないし、どういうことなんだろう?
ラクガキするにしてもその内容がよく理解出来ないものだから、ひっかかる。


「まぁいい。誰かのイタズラだろ」


先生がホワイトボードの文字をイレーザーで消していく。
結局誰が書いたのかわからないままだけれど、気にするような内容じゃないからまぁいっかという雰囲気が教室内に流れる。
それよりも早く教室から出て自由になりたい。
今晩の献立はなんだろう。
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