命令教室
どうしたのかと視線を向ければ、潤の視線がホワイトボードに向いていた。


「なんだこれ」


呟いたのは正志だ。
身を離してホワイトボードを確認してみると、そこには『イジメの日』と乱雑な文字で書かれているのだ。


「これって昨日の『誕生日を祝う日』と似てない?」


純子が眉間にシワをよせ、誰にともなく言う。
それは文字を見た瞬間に誰もが感じたことだった。


「『誕生日を祝う日』なら理解できるけど、『イジメの日』てどういう意味だ?」


正志は首を傾げている。
確かに、日本語がどこかおかしい気がする。


「昨日もこの文字が現れて、夕方になってから『失敗』って文字が出てきて、それから先生がいなくなったよね?」


香が昨日の出来事を必死で思い出そうとしている。
昨日は電話が通じなかったり、外へ出られないということがあって、ホワイトボードの文字のことなんてすっかり失念していた。
だけど確かに、そういうことがあったと思い出す。
< 57 / 236 >

この作品をシェア

pagetop