命令教室
☆☆☆

ホワイトボードの前に布団が用意され、枕元には野球バッドが置かれていた。
バッドは元々施設にあったもののようで、年季が入っている。
充はそのバッドを両手で握りしめてブンブンと何度も素振りを繰り返す。
こんなことをする犯人を絶対に捕まえてやると、意気込んでいた。


「俺たちはそれぞれの部屋で眠ろう。ちゃんとカギをかけて」


本当は今日もみんなと一緒にいたかったけれど、この中に犯人はいないと断言するためには個々になった方が得策だった。
それぞれカギのかかった個室にいれば、犯人だと疑われる可能性は低くなるから。


「わかった。そうだね」


後ろ髪をひかれる気分になりながらも、私は修の提案を受け入れたのだった。
< 81 / 236 >

この作品をシェア

pagetop