命令教室

☆☆☆

昨日はみんなと一緒だったから少しは眠ることができたけれど、1人の今日はさすがに眠りが遠かった。
窓から差し込む月明かりは弱々しくて、部屋の中は暗闇に包み込まれている。
そんな中で目を閉じてみれば、浮かんでくるのは先生と潤の姿ばかりだ。

ふたりともどこに行ってしまったんだろう。
なんの痕跡も残さずに消えてしまったから、死んだのかどうかすらわからないままだ。
布団の中で寝返りをうつと自然と涙が流れてきてしまう。
手の甲で目尻をぬぐい、どうにか涙を押し込める。

眠れなくて何度もスマホ画面を確認してしまうけれど、やはり暗転したままでうんともすんともいわない。
これが使えさえすれば、警察や家に連絡をとることができるのに!


「動いて、お願いだから」


闇雲に画面をタップして、現実から逃れようともがく。
けれどそれは海底まで沈んでから必死で呼吸しようとしているのと同じで、もがけばもがくほど、苦しみにさいなまれるのだった。
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