命令教室
☆☆☆

施設の倉庫は1階のシャワー室の横にある。
そこへ行くためには教室の前を通過しないといけない。
犯人と間違われないか少しの不安はあったけれど、助かる可能性を捨てるわけにはいかない。
私と修は早足で階段を駆け下りていく。

その足音に気がついたのか、廊下では仁王立ちをしている充が待ち構えていた。
全く眠っていないのか目は充血し、握りしめたバッドは細かく震えている。


「来たかよ犯人」


充血した目で睨みつけられるといつも以上の迫力を感じる。
だけど立ち止まっている暇はない。


「俺たちは犯人じゃない。それよりも、さっきヘリがいたんだ」


「ヘリだと?」


充にはあの音が聞こえなかったんだろうか?
寝不足と緊張で聞き逃してしまったのかもしれない。


「そうだよ。だから屋上からSOSを送りたいの。私達、ここから出ることができるかもしれないんだから!」


希望に胸が膨らんで、自然と声が大きくなっていく。
この機会を逃せば次はいつチャンスが訪れるかわからない。
< 84 / 236 >

この作品をシェア

pagetop