命令教室
「俺はそんな音聞いてねぇぞ! お前らが犯人なんだろ!?」


叫びながらバッドを振り回す充に私達はあとずさりをする。
バッドがブンブンと空をかいて、その音が鼓膜を揺るがす。


「落ち着いて。犯人は俺達じゃない」

「嘘つけ! じゃあどうしてここに来たんだ!」

「倉庫に行くためだ。あそこにはラインカーがあるから、それを使って屋上でSOSを送るんだ。わかるだろ?」

「はぁ? そんなことできるわけねぇだろうが!」


眠っていないせいで頭が動いていないのか、充はさっきから否定的な言葉しか発しない。
このままじゃこのチャンスまで逃してしまうことになる!
私は咄嗟に廊下に膝をついて頭を下げていた。


「お願い充、ここを通して! 話なら後からいくらでもするから!」


今は押し問答をしている場合ではない。
頭を下げてでも、通してもらわないと困るんだ!
突然土下座をした私に修は驚いた顔をしていたけれど、すぐに同じように頭を下げてくれた。


「頼む! 倉庫へ行かせてくれ!」


懇願する私達に充の表情が徐々に柔なくなっていく。

「ヘリが、居たんだな?」

確認するように聞いてくる充に私は大きく頷いた。
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