命令教室
眩しい太陽の中に小さな飛行物体があるのが見えた。


「ヘリだ!!」


修が叫ぶ。
香が勢いよく立ち上がってヘリへ向けて両手を振り始めた。


「助けて! 助けて!」


大きく両手を振ってその場でジャンプをする。
ヘリの中から私達はどんな風に見えているだろう?
もしかしたら、豆つぶくらいにしか見えていないのかもしれない。
人に見えているのかどうかも怪しい。

それでもいい。
少しでも異変を感じ取ってくれればそれでいいんだから。


「おーい! ここにいるんだ!」

「助けて! お願い!」


ふたりの声がヘリのプロペラ音によってかき消される。
小さく見えていたヘリはどんどんこちらへ近づいてきているのだ。
これなら気がついてもらえるかもしれない!


「助けて! ここにいるの!」


目一杯声を張り上げ、火のついたプリントを掲げる。
< 91 / 236 >

この作品をシェア

pagetop