命令教室
☆☆☆

「どうして誰も来てくれないの……」
私はどん底へ突き落とされた気分で呟いた。
ヘリが上空を通り過ぎていってから1時間は経過しているはずだ。
だけど未だに誰かが来てくれる気配はない。
空は青く澄み渡っていて、雲が徐々に少なくなっている。


「大丈夫。きっと、もうすぐだから」


そう言う修の顔には疲労が滲んできている。
さすがにここまで誰も助けに来ないのはおかしいと、感じ始めているはずだ。
あれだけ至近距離で飛行したのに、まさか気がついていないなんてこともないと思う。


「……もしかして、見えてなかったのかも」


座り込んでいる香が呟く。


「え?」


私は驚いて聞き返した。


「ほら、この施設ってなにかおかしいじゃん? だから、ヘリから私たちの姿は見えていなかったのかも」

「そんな……そんなことあるはずないよ」


否定しながらも、もしそうだったらという予感が拭えない。
これだけ待っても助けが来ないということは、それなりに理由があるはずだからだ。

もしヘリから私達の姿が見えていなかったとしたら?
煙や、SOSすら見えて居なかったとしたら……?
ここでいつまでも助け絵を待つこと事態が無謀なことなのかもしれない。
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