夜空へ虹の架け橋を
第四章 願いが叶うとき

1.懐かしい感情


 ―― 二〇二二年 七月十七日 日曜日 ――


 朝起きると、昨晩大泣きした美輝の両目は盛大に腫れあがっていた。


「どうしたんだよ、お前。すげえ顔してるけど」


 怜が心配しているのか驚いているのかわからない淡々とした口調で、美輝に声をかける。


「なんでもないわよ。疲れが溜まって顔がむくんでるの。あんま見ないで」

「そっか。今日は無理すんなよ」


 ぶっきらぼうに放つ言葉が優しく響く。

 これが怜から美輝への優しさの表現方法だ。

 美輝のことだと、どうも素直になれないらしい。


「ん……ありがと」


 美輝も無愛想に返すが内心嬉しいのだろう。

 まったくこのふたりは素直じゃないんだから。と、本当は素直になることが一番下手くそなわたしは、自分を棚に上げている。

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