夜空へ虹の架け橋を

「なに、これ……?」

「なにって、お前のスマホじゃん」


 怜が美輝から受け取った水筒を座席の上から「ほらっ」と差し出しながら言った。


 確かにこれはわたしが使っていたスマホだ。

 でも、それはもう七年も前のことだけど。

 まさかと思い、慌ててホーム画面を呼び出して日付を確認した。


 ―― 二〇二二年 七月十六日 土曜日 ――


「どういう……こと?」

「どうかしたの?」


 結弦が心配そうに、顔を覗き込んでくる。


「ねえ、結弦……。今日って、何年の何月何日?」


 スマホに表示された日付が信じられず、聞かれた問いには答えないまま結弦に問い返す。


「んっ? 二〇二二年七月十六日だよ」

「……っ!」


 また息が詰まってしまう。

 呼吸の仕方を忘れたみたいだ。

 酸欠で鼓動がどんどん速くなっていく。


「丁度海の日と土日が重なる三連休だから、旅行の日を今日にしようって決めただろ?」


 ――旅行?

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