その涙が、やさしい雨に変わるまで
件のビールはすぐにやってきて、三琴は口に含む。口の中で泡がはじけて、ホップの苦みが現れる。最後にどこか力強い大地の味が舌に残った。
「あー、これ、美味しい~。この琥珀色のイメージそのものね」
「もう、松田さんったら~、のんべえさん!」
ケラケラと隣の春奈が明るく笑う。
この屈託のない笑い声に、三琴はさっきまでの緊張が洗い流されるような気がする。しっとりとした雰囲気の店に響く、春奈とその他のメンバーの声がこんなにも心地いいなんて……
(このムード、これも脩也さんの人柄を反映したものなんだろうな)
(最初に会ったときは、皆さん遠慮がなくてびっくりしたけど)
(明るく笑って嫌なものは吹き飛ばすって、ところかしら?)
「これは、松田さんの分ね」
あとから加わるからと三琴の分の料理が一部、残されていた。わざわざ別に取ってくれていたのは、数量限定の魚の刺身である。温かなこの配慮にも、三琴は身も心もまぁるくなっていく。これも仲間っていいなを感じさせる瞬間だ。
気持ちが落ち着いてくれば、腹が減る。『撮影会打ち上げ』は、どこまでが討論会で、どこからが打ち上げなのか、曖昧だ。三琴が合流した直後はバラ園の話であったが、紆余曲折して今はフォトグラフ技術の話になっている。
ここはあくまでもフォトグラファーの飲み会。それを重々わきまえて、三琴は討論会の邪魔にならないよう腹ごしらえにいそしんだ。
「あー、これ、美味しい~。この琥珀色のイメージそのものね」
「もう、松田さんったら~、のんべえさん!」
ケラケラと隣の春奈が明るく笑う。
この屈託のない笑い声に、三琴はさっきまでの緊張が洗い流されるような気がする。しっとりとした雰囲気の店に響く、春奈とその他のメンバーの声がこんなにも心地いいなんて……
(このムード、これも脩也さんの人柄を反映したものなんだろうな)
(最初に会ったときは、皆さん遠慮がなくてびっくりしたけど)
(明るく笑って嫌なものは吹き飛ばすって、ところかしら?)
「これは、松田さんの分ね」
あとから加わるからと三琴の分の料理が一部、残されていた。わざわざ別に取ってくれていたのは、数量限定の魚の刺身である。温かなこの配慮にも、三琴は身も心もまぁるくなっていく。これも仲間っていいなを感じさせる瞬間だ。
気持ちが落ち着いてくれば、腹が減る。『撮影会打ち上げ』は、どこまでが討論会で、どこからが打ち上げなのか、曖昧だ。三琴が合流した直後はバラ園の話であったが、紆余曲折して今はフォトグラフ技術の話になっている。
ここはあくまでもフォトグラファーの飲み会。それを重々わきまえて、三琴は討論会の邪魔にならないよう腹ごしらえにいそしんだ。