その涙が、やさしい雨に変わるまで
「このバラ園で、もう一度、撮影会しないかな~。あれば、私、志願しちゃう!」
「なんとなく撮影会は、脩也さんが帰国したときって感じだったなぁ。そのときそのときで都合の合う人だけでやっている勉強会だって、メンバーの方がいっていたし」
「ふう~ん、そうきけば、あの山男、なかなか人望あるじゃん。あれでも、できる写真家なんだ~」
第一印象が第一印象だけあって、脩也に対する彩也子の評価は辛口だ。でもバラ園についてはかなりお気に召したみたいで、彩也子は近いうちに足を運んでみたいという。
お待たせしましたの声で、デザートが届く。本日のデザートは、ブラマンジェだ。トッピングのミントの葉が、小さくてかわいらしい。
デザートをいただきながら、三琴と彩也子は午後からの来社予定人のチェックをした。
「今日はヨーロッパ事業部の人がくるんだって」
「ヨーロッパか、誰だろう?」
あの案件かなと、三琴は瑞樹のスケジュールを思い出す。
三琴は受付部門に異動してそろそろ一ヶ月になろうとしていた。三琴が覚えている範囲での瑞樹のスケジュールが、半分消化されていた。
(そろそろ株主総会のチェックも大詰めで、月末までの出入りはグループ内の幹部ばっかりになるはず)
(そのあとは、新作発表会で……)
(その先は……もうわかんない、知らされていないからね。でもこれで、円満に退職できるはず)
四月半ば過ぎに辞職願を提出した段階では、三琴は二ヶ月分の副社長スケジュールを知っていた。社外秘になるそれが終わるまでは……なんて条件を付けられて、社に拘束されることとなった。でもそこから先のことは、もう三琴には与り知らぬこととなる。
「なんとなく撮影会は、脩也さんが帰国したときって感じだったなぁ。そのときそのときで都合の合う人だけでやっている勉強会だって、メンバーの方がいっていたし」
「ふう~ん、そうきけば、あの山男、なかなか人望あるじゃん。あれでも、できる写真家なんだ~」
第一印象が第一印象だけあって、脩也に対する彩也子の評価は辛口だ。でもバラ園についてはかなりお気に召したみたいで、彩也子は近いうちに足を運んでみたいという。
お待たせしましたの声で、デザートが届く。本日のデザートは、ブラマンジェだ。トッピングのミントの葉が、小さくてかわいらしい。
デザートをいただきながら、三琴と彩也子は午後からの来社予定人のチェックをした。
「今日はヨーロッパ事業部の人がくるんだって」
「ヨーロッパか、誰だろう?」
あの案件かなと、三琴は瑞樹のスケジュールを思い出す。
三琴は受付部門に異動してそろそろ一ヶ月になろうとしていた。三琴が覚えている範囲での瑞樹のスケジュールが、半分消化されていた。
(そろそろ株主総会のチェックも大詰めで、月末までの出入りはグループ内の幹部ばっかりになるはず)
(そのあとは、新作発表会で……)
(その先は……もうわかんない、知らされていないからね。でもこれで、円満に退職できるはず)
四月半ば過ぎに辞職願を提出した段階では、三琴は二ヶ月分の副社長スケジュールを知っていた。社外秘になるそれが終わるまでは……なんて条件を付けられて、社に拘束されることとなった。でもそこから先のことは、もう三琴には与り知らぬこととなる。