ようこそ、むし屋へ ～深山ほたるの初恋物語編～

同窓会の意図

　紗良から微笑みが消え、「ウソ」と小さく呟いたももたちゃんが、ほたると紗良を心配そうに見つめた。
　さなえちゃんから視線を送られた大地君が話を続ける。

「ほら、シュウって覚えてる？　中学のときサッカー部だった、髪ツンツンチビ。アイツこの間大学の友達とオランダ旅行行ったらしくてさ。その時、入れ墨ピアスの白人と笑いながら歩いてる篤を見たらしい。オレ、他人の空似じゃねって言ったんだけど、一瞬だけど目も合ってあっちも驚いた顔してたから間違いないって」

「だけど、篤君はスリランカに留学中事故にあって」と、ももちゃん。

（いきなり同窓会って、そういうことだったのか）と、さなえちゃんを見ながら、ほたるはトートバッグに手を伸ばし、みんなに伝える。

「篤は生きてるよ。さっき篤の家に寄った時、篤のお母さんから直接聞いたから間違いないよ」