ようこそ、むし屋へ ~深山ほたるの初恋物語編~
篤からみんなへ
「これ、篤からみんなへプレゼント」
ほたるは篤から託された宝石のアクセサリーを、宝石言葉を乗せてみんなの前に一つずつ置いていった。
紗良にはブルーサファイアのネックレス。宝石言葉は「冷静」、ももちゃんはアレキサンドライト、宝石言葉は「秘めた想い」、さなえちゃんはアメジスト、宝石言葉は「真実の愛」、そして、大地君には「真実・友愛」が宝石言葉のガーネット。
「……よかった」
ネックレスを胸に抱いて、涙を流す紗良の背中を「うん、よかったねー、紗良っち」と、ももちゃんがさする。
「でも、このままじゃ篤君は日本に帰れないと思うんだ。篤君が何故あんな行動に出たのか、ちゃんとウチらは知るべきだと思う」と、さなえちゃんが真顔で言った。
(やっぱり、さなえちゃんは気づいていたんだ)
『大地があたし以外を好きになるのは許せないと思ったんだ。たとえそれがあたしの友達だったとしても、男でも女でも、誰であっても』
『大地が陸部誘ったけど断られたってさ。アイツも鈍感だから篤君の気持ちとか考えないでゴリ押しして撃沈したっぽい』
『それにしても篤君は何考えてるんだろうな。だって、あたしが思うに篤君は……』
さなえちゃんの数々の発言の真意を、ほたるは勘違いしていた。
「さなえちゃんは、その、篤のこと、いつから気づいてたの?」
しばらくの間、ほたるの顔をじっと見た後、さなえちゃんは、ホクホクのポテトを自家製タルタルソースに潜らせながら淡々と話し始めた。
「あれ?って思ったのは小四の時。明らかに篤君が大地を避けてて、どうしたのかなって思ったんだよね。それで大地に聞いたらさ」
「ばっ、その話は秘密って約束しただろ!」
大地君が慌ててさなえちゃんの口元を塞ごうとしたけれど、さなえちゃんはその手をピシッと跳ねのける。
「こいつさぁ、キスの感触が知りたくて篤君にチューしたんだって」
「きゃあ、大地君の変態!」
ももちゃんが叫び、紗良は口元を抑え、ほたるは口をぽかんと開けた。
「いやぁ、篤の唇って女の子みたいだったから、つい」
照れる大地君の頭をばこっとさなえちゃんが叩く。
「最初は、篤君がバカ大地を警戒してるんだと思ったけど、紗良が転校してきて考えが変わった」
「私?」
「ちょ、ちょ、ちょ、待って待って待って! これ以上オレの公開処刑やめて~」
さなえちゃんはガン無視。
「紗良に大地が一目惚れしたんだよ。その時の篤君を見ててわかったんだ。ああ、篤君は大地のことが好きなんだなーって。友達としてじゃなくラブの方」
「へ?」
焦っていた大地君が、ぽかんとなった。
「たぶん、篤君も自分に困惑してたんだと思う。篤君が陸部に入らなかったのは大地と距離を置くためだし、真剣に悩んでいたからこそ紗良と付き合ったんじゃないかな。篤君は紗良のことを人として好きだったから」
「……入れ墨ピアスの白人は篤君の彼氏かもね。オランダはLGBTQの先進国だもんね」
ももちゃんはため息を吐き、アレキサンドライトのネックレスを見つめ「秘めた想いか」と呟いた。
ほたるは篤から託された宝石のアクセサリーを、宝石言葉を乗せてみんなの前に一つずつ置いていった。
紗良にはブルーサファイアのネックレス。宝石言葉は「冷静」、ももちゃんはアレキサンドライト、宝石言葉は「秘めた想い」、さなえちゃんはアメジスト、宝石言葉は「真実の愛」、そして、大地君には「真実・友愛」が宝石言葉のガーネット。
「……よかった」
ネックレスを胸に抱いて、涙を流す紗良の背中を「うん、よかったねー、紗良っち」と、ももちゃんがさする。
「でも、このままじゃ篤君は日本に帰れないと思うんだ。篤君が何故あんな行動に出たのか、ちゃんとウチらは知るべきだと思う」と、さなえちゃんが真顔で言った。
(やっぱり、さなえちゃんは気づいていたんだ)
『大地があたし以外を好きになるのは許せないと思ったんだ。たとえそれがあたしの友達だったとしても、男でも女でも、誰であっても』
『大地が陸部誘ったけど断られたってさ。アイツも鈍感だから篤君の気持ちとか考えないでゴリ押しして撃沈したっぽい』
『それにしても篤君は何考えてるんだろうな。だって、あたしが思うに篤君は……』
さなえちゃんの数々の発言の真意を、ほたるは勘違いしていた。
「さなえちゃんは、その、篤のこと、いつから気づいてたの?」
しばらくの間、ほたるの顔をじっと見た後、さなえちゃんは、ホクホクのポテトを自家製タルタルソースに潜らせながら淡々と話し始めた。
「あれ?って思ったのは小四の時。明らかに篤君が大地を避けてて、どうしたのかなって思ったんだよね。それで大地に聞いたらさ」
「ばっ、その話は秘密って約束しただろ!」
大地君が慌ててさなえちゃんの口元を塞ごうとしたけれど、さなえちゃんはその手をピシッと跳ねのける。
「こいつさぁ、キスの感触が知りたくて篤君にチューしたんだって」
「きゃあ、大地君の変態!」
ももちゃんが叫び、紗良は口元を抑え、ほたるは口をぽかんと開けた。
「いやぁ、篤の唇って女の子みたいだったから、つい」
照れる大地君の頭をばこっとさなえちゃんが叩く。
「最初は、篤君がバカ大地を警戒してるんだと思ったけど、紗良が転校してきて考えが変わった」
「私?」
「ちょ、ちょ、ちょ、待って待って待って! これ以上オレの公開処刑やめて~」
さなえちゃんはガン無視。
「紗良に大地が一目惚れしたんだよ。その時の篤君を見ててわかったんだ。ああ、篤君は大地のことが好きなんだなーって。友達としてじゃなくラブの方」
「へ?」
焦っていた大地君が、ぽかんとなった。
「たぶん、篤君も自分に困惑してたんだと思う。篤君が陸部に入らなかったのは大地と距離を置くためだし、真剣に悩んでいたからこそ紗良と付き合ったんじゃないかな。篤君は紗良のことを人として好きだったから」
「……入れ墨ピアスの白人は篤君の彼氏かもね。オランダはLGBTQの先進国だもんね」
ももちゃんはため息を吐き、アレキサンドライトのネックレスを見つめ「秘めた想いか」と呟いた。