王子様との奇跡な恋をⅢ
唯人「頼ると大人は嫌な顔をして、怒鳴り散らすものです。俺の周りの大人はそういう人しかいません。」
聡「ホントにそうか?前を見てみろ。まだ居るだろ?」
下げてた顔を前へ向ける。
唯人「……っ……。」
聡「どうだ?頼りになると思うが?」
唯人「なぜ、そこまでしてくださるんですか。こんな赤の他人の俺に。」
聡「1番は唯一のためだな。」
唯人「唯一の?」
聡「今意識がないのは知っているだろ?」
黙って頷く。
聡「その間、微かに唯一が何かを呟いていたんだ。」
唯人「意識が無いのに?」
聡「そう。なんて言ってた思う?」
唯人「なんですか?」
聡「唯人、一緒に居て。ありがとう。って……。」
唯人「…………。」
泣きそうになる。
聡「唯人。」
優しく唯人を抱きしめる。
聡「唯一からしたら、お主はあの時確かにヒーローだったんだ。俺じゃダメと言っていたが、唯一は君じゃなきゃ嫌だと思うぞ?」
唯人「それでも今の俺は無力です。」
聡「そうだな。なら、私から1つ提案だ。」
抱きしめてた腕を離し唯人の目を見て話す。
唯人「なんですか?」