姉の男友達に溺愛されてます!
「花耶ちゃんを悩ませるのは本意じゃないからね」

風岡さんは話し始めた。


「俺が大学生の時、日和に連れられて一度この家に来たことがあるんだ」

「ちょうど雨の日で、傘を忘れた俺に日和が家に寄って傘を貸してくれるって」

「そしたら、日和が貸そうと思ってた傘がなくてね。その時、花耶ちゃんが出てきたんだ」

「自分は今日もう外に出ないから、私の傘を使って下さいって」

「それで俺は借りたんだけど、俺がリビングでお茶を出してもらってる時にそーっと玄関に行く花耶ちゃんが見えて・・・」

「傘をささないまま、走って出て行った」

「見ず知らずの俺のために嘘をついて、もう出かけないって言って、自分だけ濡れたままで」

「始めは、ああなんて自己犠牲をする子なんだって思った」


その時、私は記憶を全て思い出した。

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