世界くんの想い人
(大丈夫かな……梅子さん)

梅子にベッドで触れた際、熱がある様子はなかったが、連日押し倒していたせいで風邪を引かせてしまっただろうか。

(オムライスの食中毒……?ってさっき食べたばっかだし、俺も食ったしな)

その時、ガチャリとトイレの扉がひらくと梅子がおずおずとでてくる。俺はすぐに梅子の背中に掌を添えた。

「梅子さん、大丈夫?横になる?」

「ううん、大丈夫」

梅子が困ったような顔をしながら下唇を湿らせた。

「ん?どした?」

「あの……ね」

「とりあえずソファーすわろ?」

「うん……」

俺は梅子をソファーに座らせるとグラスに水を注いで手渡した。

「ありがと……」

梅子はゴクゴクと水を飲み干すと、ふうっと一息吐いた。そして俺の方をじっと見つめた。

「あの、世界くん……聞きたいことがあって」

「何?」
 
さっきから梅子の様子がおかしいが、それが何に起因しているのか全くわからない。
梅子がうつむくと唇をきゅっと結んだ。

「どした?いいよ?何でも言って?」

梅子は少しの間、黙ってから小さく口を開いた。

「その……家族計画……についてなんだけど……」

「へ?家族計画?」

思わず素っ頓狂な声がでた俺を見ながら梅子が眉を下げた。

「えと、その……世界くんって、いつか子供欲しいのかなって……確認というか」

「え?梅子さんそっくりの子供とか今すぐ欲しいすけどね。それがどうかした?そんなことより病院ほんとにいかなくて大丈夫?」

俯きがちの梅子をのぞき込めば、梅子の瞳から涙が一粒転がった。

「え……ちょ、俺なんか言った?……よくわかんないけど、なんか泣かせるような事いったならごめん……」

「違っ……ごめ……ほっとして……」
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