戸松先輩の、お気に入り


先輩と、
久しぶり握った手は暖かくて安心する。



私と先輩は、
中学の時、同じ図書委員だった。



1番最初に先輩を見たとき、
一目惚れしたのは私の方だったのに。



委員の関係で遅くなったとき、
こうやって、手を握って家まで送ってくれて。



そんな、
先輩の不器用な優しさでもっと好きになって。



でも、報われない片想いってことも知ってる。



中学の時、
先輩が付き合ってた〝ヒナ〟先輩。



先輩に彼女がいるから。



告白もせずに終わった、私の初恋。



だけど、諦めきれなくって。



先輩を追いかけるように、高校を選んだ。



そして、無事合格したから。


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