上司の甘い復讐




「もしかして、妬いてるの?」


見上げると、頬を染めたまま口をきゅっと結ぶ。

翔太さん、こんな顔するんだ。

知らない翔太さんを知るたびに、ますます好きになってしまう。


「可愛い」


思わずにやける私に、


「うるせぇな」


翔太さんは口を結んだままぼやく。

そして頬を染めたまま告げた。



「……すげぇ妬いてんだ。

瑞希は俺のものなのに。

自分でもキモいって思うほど、妬いてんだ」




翔太さんは血の通っていない冷血漢だと思っていた。

翔太さんと付き合った女は不幸になるとか、楽しくもないとか思っていた。

だけど本当の翔太さんは、こんなにも優しくて甘くって、そして素直でヤキモチ妬き。

翔太さんを知れば知るほど、その罠に嵌っていく。

私はもう、抜け出すことは出来ないだろう。



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