上司の甘い復讐

怖いながらも守ってくれている







翔太さんと甘い時間を過ごしたものの……

次の日には、それは跡形もなく消え去っている。




「なあ、大倉」


彼はトレードマークの仏頂面で私に問いかける。


「お前、重要事項の入ったUSB、どこに置いたか?」


「……え?USB?」


「俺がこの前、お前に貸してやった」


翔太さんはイラついたように話す。

それでようやく思い出した。

企画書を作るために借りたそのUSB、私は確か自分のパソコンに挿したままだったと思っていたが……見当たらない。

どこを見ても見当たらない。




「あの……無くしちゃったみたいです」


恐る恐る答え、最後にえへと笑う。

翔太さんは私にベタ惚れだから許してくれると、一縷の望みをかけて。

だけどその賭けは、私の負けとなる。



「は?無くした!?ふざけんな」


彼はいつものように顔を歪めた。

そして雷が落ちた。


「見つかるまで、探し続けろ!!」


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