上司の甘い復讐
居ても立っても居られない私は、おもむろに扉を開けた。
驚いた翔太さんが私を振り返る。
だけどその顔を見ることが出来なかった。
これ以上、翔太さんに迷惑をかけられないと、強く思う。
「申し訳ございません」
低く低く頭を垂れる。
「川崎さんは、何も悪くありません。
無くしたのは私です」
「大倉……」
彼はどんな顔で私を見ているのだろう。
泣きそうな顔で見ているのかな。
私はオフィスで、そんな翔太さんを見たくはない。
いつもみたいに自信満々でキツい翔太さんしか見たくはない。