上司の甘い復讐



泣きそうな私を振り返ったのは、同じように顔を歪めた翔太さんだった。


「瑞希……」


甘い声で私を呼び、ゆっくりと近付く。


「お前が頭なんて下げなくてもいいのに」



大好きな優しい声に、耳が熱くなる。

こつ、こつと彼はゆっくり近付いて、私の前で止まる。


「俺が悪いんだ」


その頬に、そっと手を伸ばす。

大好きな翔太さんが、私のせいでそんな顔をするのが辛い。


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