上司の甘い復讐
翔太さんの視線が痛い。
さっきまでの期限の良さは陰を潜め、殺す勢いで山村君を睨んでいる。
だけどその殺気にすら気付かない山村君は、もっと恐ろしい。
山村君は笑顔で続けたのだ。
「川崎さんが大倉さんの気持ちを引き出してくれたから……」
「だ、だからなんでそうなるの!?」
私は叫んでいた。
そして今後二度と山村君に酒を飲ませないと心から誓う。
「二人とも、良かったねー。
これで大倉さんが川崎さんに怒られても、山村君が癒してくれるね」
なんとそんなことを言い始める金本さん。
翔太さんを恐れない金本さんは、恐ろしすぎる。
そして周りから笑いが起きる。
私は、翔太さんの顔を見ることすら出来なかった。