上司の甘い復讐

こうやっていつも手懐けられる







それから……



仕事はもちろん手につかなかった。

翔太さんと麻理子さんのことばかり考えていた。

私があからさまに元気がないのを、みんなは翔太さんに叱られたからだろうと思っているらしい。

横山さんから何度もフォローの言葉をもらったし、山村君なんかは


「大倉さん。ご飯食べに行きませんか?」


なんて誘ってくれる。

もちろん、私と付き合っていると勘違いしているからだろうが、その気持ちすら嬉しかった。

山村君のことを好きになれれば、こんな惨めな気持ちも味わわなくて済んだのかもしれない。


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