上司の甘い復讐



だけど……

期待は裏切られるものだ。

街灯の下に立って私を待っていた人は……


「瑞希!!」


彼は嬉しそうに駆け寄ってくる。

彼を見た瞬間、逃げたくなった。

だって私を迎えてくれた彼は大好きな翔太さんではなくて……


「圭介……」


だったからだ。

ショックを受けている私の心は、圭介の姿でとどめの一撃を喰らった。


なんで圭介がいるの?

なんで待ってるの?

でも、今の私には圭介を追い払う元気もない。



「なんか用?」


意気消沈して答えると、機嫌がいいらしい圭介は笑顔で答える。


「瑞希、相変わらず萎れてるねー。

今日もハゲ崎にいじめられたの?」


そうです、なんて言える心境ではなく、黙って圭介を睨む。


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