上司の甘い復讐



沈黙が舞い降りる。

翔太さんは私の手を握ったまま、言葉に詰まる。

仕事では誰にも負けない翔太さんが、今はいとも簡単に私に負けている。



やがて彼は、ぽつりと言う。



「四年も前だから、付き合っていたのは。

それに俺にとっては瑞希しかいないから」



その言葉は嬉しい。

でも、どうしても比べてしまうし不安だ。

翔太さんは興味がなくても、麻理子さんはよりを戻したいと思っているかもしれない。

麻理子さんが本気になったら、私は勝てる自信がない。


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